Thigh Strike AR (Thigh SAR)は着地時に腿をどれだけ引き戻せているかを角度で表した値です。StrikeARと組み合わせることで、走りの特徴、特に着地の位置が体の重心の近くかどうか(引き戻せていれば、より手前に着地できている)を評価することができます。
Thigh SARはLEOMO独自の Motion Performance Indicator (MPI) の一つです。LEOMOの製品でのみ、計測することができます。 |
簡単に言うと
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腿を着地の瞬間までにどれだけ引き戻せているかを角度で表したものです。
- Strike AR (SAR)ではFootのセンサーで膝から下の似たような動きを評価しますが、Thigh SARは腿の動きを評価します。
- 値が大きければ腿をより引き戻して着地しており、いわゆる「腿上げ」と「引き戻し」の両方が出来ていることになります。値が小さいと走りがコンパクトになり、SARがどれだけ大きくても着地位置が前方に寄っている可能性があります。
なぜ Thigh SAR が重要なのか
Thigh SARは一見SARと何が違うのか解釈が難しいMPIです。SARは膝から下の可動域を表し、Thigh SARは腿の着地前の可動域を表します。ランニングをする際に、足は股関節と膝関節という2つの関節を使ってまるでムチのように振られますが、この2つの可動域を見ることで着地前の動きをより詳細に分析することができます。
Thigh SARとSARは共に着地前の足の振り戻しを評価するためのMPIですが、振り戻しが大きいとどのようなメリットが有るのでしょうか。それは「着地点を体の重心に近づけることが出来る」ということです。
「着地点を体の中心の真下に持ってくる」事ができれば、着地時のブレーキは殆どかからず、非常に効率的に着地を行うことができます。しかし実際は非常に短い時間でも地面に対して接地して着地衝撃を吸収する必要があり、そのためには「体の中心の真下」で着地することは不可能であり、実際は少しだけ前に着地します。しかし必要以上に前に着地すればその分ブレーキが大きくなったり、接地時間が長くなってピッチを上げることができなかったりとデメリットが多くなるのです。
Thigh SARの値について
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Thigh SARは単独でも足の振り戻しを判断できますが、SARと組み合わせることで、より精度の高い解析を行うことができます。
- たとえThigh SARが小さくても、SARが大きい場合があります。(例えばThigh SARが25°でSARとが12°など)その場合はThigh SARの基準では振り戻しが足らないように思えますが、その分をSARで補っているため、着地点は十分体の重心に近づいているでしょう。
Thigh SAR |
レベル |
見た目による差(参考) |
---|---|---|
~ 20° |
Bad | 全く腿が振り戻せていない |
20 - 25° |
Low | 腿を振り戻せていない |
25 - 35° |
Moderate | 腿を振り戻している |
35° ~ |
High | 腿を大きく振り戻している |
SARとの組み合わせ
Thigh SAR |
|||||
~ 20° | 20 - 25 | 25-35 | 35°~ | ||
SAR |
0 - 3° | 体の重心近くに着地出来ていない | 体の重心近くに着地出来ていない | 体の重心から少し離れている | 体の重心近くに着地出来ている |
4 - 7° | 体の重心近くに着地出来ていない | 体の重心近くに着地出来ていない | 体の重心近くに着地出来ている | 体の重心近くに着地出来ている | |
8 - 10° | 体の重心近くに着地出来ていない | 体の重心から少し離れている | 体の重心近くに着地出来ている | 体の重心近くに着地出来ている | |
10° ~ | 体の重心から少し離れている | 体の重心近くに着地出来ている | 体の重心近くに着地出来ている | 体の重心近くに着地出来ている |
センサーの位置
- 大腿の表面に取り付けます。大腿の横には貼らないでください。
-
センサーの正しい向きは、立ったときにLEOMOロゴが下になるように、つまり自分から見てLEDが右下になる向きです。
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両面テープを使うか、スパッツのようなものに挟むと安定します。
-
装着位置が膝に近くても股関節に近くても問題ありませんが、10cmぐらいは離したほうが良いでしょう。
リアルタイムデータ解析
Thigh SAR はアクティビティ中にリアルタイムで見ることが出来ます。
また、コーチは LEOMO LVS でMPIと動画を重ね合わせて記録し、見ることができます。
関連項目
Stride Cycleの一つです。同じく構成要素となるMPIであるStrike AR、Heel Pitch、Recoil ARも参照して下さい。
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