踵着地からミッドフットに改善するには、ドリル上では数秒しかかかりませんが、実際のランニングトレーニングに移ってもミッドフットを維持できるようになるには数ヶ月間かかります。
踵着地とミッドフット着地では体への負担のかかり方が変わるので短時間で変更しようとすると怪我のリスクも高まります。怪我のリスクを最小限に抑えるには、焦らずゆっくりとフォームやトレーニングを変更するアプローチが必要です。
ミッドフット着地に移行するためのドリル
ミッドフット着地の感覚を向上させるため、最初のドリルは裸足で行います。これによりシューズを履いた状態でのトレーニングやレースでミッドフット着地を維持することができます。すべてのドリルは柔らかく膝を曲げた状態での接地を心がけましょう。
ドリルを行うときにピッチをうまく維持するためにTYPE-Sやスマートフォンにメトロノームアプリを入れておくと良いでしょう。
フェーズ1:ベアフット(裸足)で足踏み
ドリル | 時間(分) |
ミッドフット着地でその場で足踏みウォーキング(裸足) |
1分 180spm(エリートは190spm) |
ミッドフット着地でその場で足踏みジョギング(裸足) |
4 x 1分(1分終了毎に短いレストを挟む) 180spm(エリートは190spm) |
フェーズ1のポイントは「裸足」で行うことです。裸足でミッドフット着地でのウォーキングとジョギングをその場で足踏みで行います。1分間に180spm(エリートアスリートの場合は190spm)のピッチで行ってください。スマートフォンのメトロノームアプリを使うとピッチを維持しやすいので活用してみてください。
このドリルは、普段のランニングのメイントレーニングの前に行ってください。週5回程度で1週間、またはミッドフット着地でウォーキングとジョギングができると確信できるまで、このドリルを行いましょう。
できるようになったらフェーズ2に進んでください。
最も重要なことは、その場で足踏みジョギングしているときに、地面にかかとが接地する前に足の中足部が接地することです。
フェーズ2:ランニングシューズで足踏み
ドリル | 時間(分) |
ミッドフット着地でその場で足踏みウォーキング(ランニングシューズ) |
1分 180spm(エリートは190spm) |
ミッドフット着地でその場で足踏みジョギング(ランニングシューズ) |
4 x 1分(1分終了毎に短いレストを挟む) 180spm(エリートは190spm) |
フェーズ2はランニングシューズを履いて、1分間に180spm(エリートアスリートの場合は1分間に190spm)のピッチで行います。週5回程度で1週間、ミッドフット着地でウォーキングとジョギングができると確信できるまで、このドリルを行います。できるようになったらフェーズ3に進みましょう。
最も重要なことはフェーズ1と同じく、その場で足踏みジョギングする際に、足の中足部で最初に地面と接触し、直後に踵が地面に当たることを確認することです。
フェーズ3:ベアフット(裸足)でのジョギング
ドリル | 時間(分) |
ミッドフット着地でその場で足踏みジョギング(裸足) |
1分 180spm(エリートは190spm) |
ミッドフット着地でジョギング(裸足) |
4 x 1分(1分終了毎に短いレストを挟む) 180spm(エリートは190spm) |
再び裸足で行います。フェーズ3では足踏みだけでなく、実際に前に進みます。ピッチを180spm以上で維持します。TYPE-SのLanding Patternやスロー動画を使ってミッドフット着地ができているかを確認すると良いでしょう。ミッドフット着地に慣れるための最初の一歩です。焦らずゆっくり行いましょう。
週5回程度の頻度で1週間、または両方のドリルがミッドフット着地でできるようになったと確信できたらフェーズ4に進みましょう。
フェーズ4:ランニングシューズでのジョギング
ドリル | 時間(分) |
ミッドフット着地でその場で足踏みジョギング(ランニングシューズ) |
1分 180spm(エリートは190spm) |
ミッドフット着地でジョギング(ランニングシューズ) |
4 x 1分(1分終了毎に短いレストを挟む) 180spm(エリートは190spm) |
フェーズ3と同じ内容ですが、ランニングシューズを履いて行います。焦らずゆっくり慣れていきましょう。
週5回程度の頻度で1週間、または両方のドリルがミッドフット着地でできるようになったと確信できたらフェーズ5に進みましょう。
フェーズ5:ランニングシューズでのドリル
レベル | 距離 | 時間 | 繰り返し回数 |
1 | 100 m | 60秒 | 1回 |
2 | 100 m | 45秒 | 1回 |
3 | 100 m | 30秒 | 1回 |
4 | 100 m | 22秒 | 2回 |
5 | 100 m | 15秒 | 2回 |
フェーズ5のドリルのポイント
- フェーズ5のドリルは全てのレベルで、フェーズ4までと同様ミッドフット着地で行います。ピッチは、非エリートランナーの場合は1分間に180spm(エリートランナーの場合は190spm)です。可能であれば、TYPE-SのLanding Patternや、スロー動画でミッドフット着地を確認してください。
- 全てのレベルでミッドフット着地を維持できない場合は、次のレベルに進まないでください。
- このフォームドリルは、トレーニングや競技の前のウォーミングアップに非常に効果的です。怪我のリスクを減らすためにも、トレーニング前にドリルを行い、トレーニングの中で長時間かけて徐々にミッドフット着地の割合を増やしていきましょう。
例えば、フェーズ5のドリルをウォーミングアップとして行い、最初の1週間はメイントレーニング時間の10%程度をミッドフット着地で走ることに集中し、残りの時間は今まで通りのフォームで走るようにします。2週目の練習では、トレーニング時間の約20%をミッドフット着地で走るというように徐々に増やしていきましょう。 - 最終目標はレースでも踵着地に戻らずに、ミッドフット着地を維持できるようになることです。
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