Strike Angular Range(Strike AR) は、着地直前の脛が一番伸びた位置から着地までの角度を測定します。Strike ARが大きい方が次のストライドへの推進力を上げることができます。
Strike AR はLEOMO独自の Motion Performance Indicator (MPI) の一つです。LEOMOの製品でのみ、計測することができます。 |
簡単に言うと
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推進力(前に進む力)の強さを表します
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ブレーキの少なさとも言えます
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意図的にStrike ARを大きくするように走るのは良くない(無駄に筋肉を使ってしまっていてリラックスできない、逆にブレーキになってしまうなど。)
なぜ Strike AR が重要なのか
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Strike AR を計測することで、着地前に足をどれだけ後ろ方向(推進力を生み出す方向)に加速*することができているかを把握できます。
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Strike AR は着地に向けて、下半身でどれだけ運動エネルギーを生み出すことができたかと強く関係しています。そしてこの運動エネルギーは、推進力とも強く関係しているのです。
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よって、Strike ARはランニングにおける推進力を示す指標として役立ちます。
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さらにStrike ARが大きくなることで着地位置がより体の重心に近づく効果も期待できます。これによりGround Contact TimeやHeel Pitchが改善する可能性もあり、いわゆる「ブレーキ」の動作が減ることに繋がります。
* “加速”とは: ここでいう加速は角速度に対する加速=角加速度に相当します。 |
Strike AR の値について
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単位は°(degrees)Angular Rangeなので移動した角度を表します。
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左右差がなく、大きい値のほうが良いでしょう
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目標となる値の範囲を決め、それを維持するようにトレーニングをすると良いでしょう
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多くのアマチュア選手は1~3°、場合によっては0°台の場合もあります。エリート選手は7°以上、10°を超えることも珍しくありません
- 靴のセンサーから動きを推定しているため、走り方によっては誤差が大きくなる場合があります(例えば着地前に足首の関節を大きく屈曲・伸展させながら走ると値は本来の値より大きくなります。)
Strike AR |
競技レベル |
見た目による差(参考) |
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0° – 3° |
Low |
すぐ着地してしまう(着地点が前方) |
3° – 6° |
Moderate |
一般的な走り |
6° – 9° |
High |
空中にいる間の動きが出てくる |
9° + |
Exceptional |
空中にいる間の動きが出てくる |
センサーの位置
- 靴の足の甲の部分に取り付けます。
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センサークリップを使って下さい。
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脱落防止のため、手前(足首)から奥(つま先)に差し込むように、シューズの紐やワイヤーなどにしっかりと固定して下さい。
- センサークリップをつま先近くに装着すると足の指に当たる場合があります。クリップをできるだけ足首に近い位置に装着することを推奨します。
具体的な例
良くない例
以下はTempoペースのロングランのグラフです。全体でStrike ARの値が低く、「Easy」と「Tempo」の間でスピードアップをしているにも関わらずStrike ARの上昇が見られません。
同じアスリートでもう少し速いペースにおける以下の例でも、スピードアップ時のStrike AR上昇が非常に小さく、全体にわたって数値が低くなっています。
素晴らしい例
次の例は、エリートマラソン選手のTempoペースでのランです。
Strike AR は全体に渡って一定の値を示し、平均値は中程度(4°~7°)となっています。
長時間のレースペースでもこのStrike AR の範囲を維持することに焦点を当てることが重要ですが、その一方で左右の足の対称性を高めることも重要です。
次に、他のエリート選手でペースを徐々に上げていくデータを見てみましょう。
この選手の場合、左右差がありますがきちんとスピードの上昇とともにStrike ARの値が大きくなっていきます。スピードを上げるための動きがきちんとできている証拠です。
もし改善するとすれば:
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左足の弱さの原因を探るのが良いかもしれません
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速いペースでのインターバル中にStrike ARの増加に焦点を当て、徐々にその感覚を長時間ペースでも出来るように意識してみるのが良いでしょう
リアルタイムデータ解析
Strike ARはアクティビティ中にリアルタイムで見ることが出来ます。
また、コーチは LEOMO LVS でMPIと動画を重ね合わせて記録し、見ることができます。
関連項目
Stride Cycleの一つです。おなじく構成要素となるMPIであるHeel Pitch、Recoil AR、Thigh Swing Speedも参照してください。
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